ツグトヨのブログ

アクセスカウンタ

zoom RSS 日本歌謡界に敢然と輝き続ける、退廃的な美を謳った永遠の名曲。ドラマチックな誕生秘話。

<<   作成日時 : 2013/03/04 18:07   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 9 / トラックバック 0 / コメント 0

画像


【時の過ぎゆくままに】

70年代、TBSの演出家であった久世光彦は「時間ですよ」、「寺内貫太郎一家」、「ムー」など、TVドラマ界のヒットメーカーであったが、その一方で、歌謡界のヒットメーカーでもあった。

彼の手がけたドラマ劇中歌のヒット(実際に劇中で歌手が歌う、という演出が多い)は実に数多い。

天地真理「みずいろの恋」、堺正章「街の灯り」、浅田美代子「赤い風船」、郷ひろみ・、樹木希林の「お化けのロック」「林檎殺人事件」、さくらと一郎「昭和枯れすゝき」。

天地真理、浅田美代子はまさしく「時間ですよ」が生んだアイドルと言っていい。

久世ドラマは、ドラマ・タイアップによるヒット曲の先駆けでもあり、ドラマからアイドルが生まれる先駆けでもあった。

そんな彼の手がけた楽曲で〈最高の楽曲〉といえば、沢田研二の「時の過ぎゆくままに」(75年年間4位/91.6万枚)を挙げる人が多いだろう。

時の過ぎゆくままにこの身をまかせ
男と女が 漂いながら

堕ちてゆくのも しあわせだよと
二人 冷たい 体あわせる


「時の過ぎゆくままに」は堕落する快美を歌った退廃的で、危うい歌である。

この歌はTBSドラマ「悪魔のようなあいつ」のテーマとして流れ、大ヒットした。

当時、久世光彦は、既に時代の寵児としてトップに君臨していた沢田研二に心酔しきっていた。

「沢田研二は当代一の"女優"です」

「『君をのせて』は男性同士の愛を歌った歌だ」

「(内田裕也と沢田研二の『トラブル』のデュエットに)こんな色っぽく、危険できれいな男のデュエットを聞いたことがない」

とか、様々な熱っぽい問題発言を久世光彦は繰り広げていたのだが、そんな彼が、沢田研二の魅力を十二分に引き立てる作品を作ってやろう、という趣味と実益を兼ねて作られたのがこのドラマ、「悪魔のようなあいつ」なのである。

企画は、箱根の温泉宿で、阿久悠と久世のふたりで作ったという。


【久世光彦の誇る、オールスター・スタッフが集結】

ドラマの原作は阿久悠、脚本は長谷川和彦、音楽は井上尭之・大野克夫。

さらに漫画版の担当は上村一夫。

まさしく当時の、沢田・久世人脈の総集結ともいえる豪華布陣であった。

そこで沢田研二にあてがわれたのが、可門良、というひとりの魔少年であった。


1968年の三億円事件の真犯人であり、セントジョージ孤児院で育った孤児であり、 藤竜也演じる野々村の経営する「クラブ日蝕」で淋しげに「時の過ぎゆくままに」を歌うクラブ・シンガーであり、 野々村の稚児であり、野々村の斡旋で一回10万円で体を売る男娼であり、 不治の病に冒され、あと数ヶ月の命である、可門良…

久世光彦は可門良のことを、かように述べている。

「彼は刃物のように危険で、氷のように酷薄で鋭く、だからこそ甘美なロマンの国へ入れるライセンスを、たったひとり許されて持っている美しい青年である…」

【渡辺プロダクションから、歌詞のクレーム】


この曲に漂う、いいようもない退廃的で虚ろな雰囲気というのは、『可門良の―』というより、久世光彦から見たもうひとりの沢田研二の姿、だったわけである。

もちろん、この世界に、沢田のプロダクションは怯み、歌詞の「堕ちる」という言葉だけはやめてくれ、と提言した、という。

しかし、当時の阿久と久世のパワーに押し切られる形で、この曲は、発売された。

この曲に漂う、いいようもない退廃的で虚ろな久世光彦の趣味に淫したといっていいドラマ「悪魔のようなあいつ」は、『全く、といっていいほどあたらなかった―』と久世本人が語っている。

しかし、石油危機後、あるいは学生運動の挫折後の、日本の空虚な雰囲気を映すかのように、この歌はドラマの世界を飛び出て、大ヒットを記録、数多い沢田研二のヒットシングルのなかで、『最高の売上げを記録する』ことになる。

そして作り手である阿久、久世ともに、自分の関わった作品で最も好きなもの、として必ず挙げられるほど、作者に愛される名曲として世に残り、独特の哀感をいまだに世に放っている、といっていいだろう。


【当時のヒット・メイカー、6人に作曲を依頼】

この「時の過ぎゆくままに」は、ドラマの重要なテーマということで、今でいう「コンペティション」で楽曲が作成されたのだそうだ。

阿久悠があらかじめ作った詞にあてはまめる形で、大野克夫、井上尭之、井上忠夫(後の大輔)、加瀬邦彦、荒木一郎、都倉俊一といった当時のジュリー・久世人脈のヒットメーカーの6人がそれぞれ作曲、その中で大野克夫作曲のものがドラマテーマとして取り上げられることになったのだという。

阿久悠と相談して、先ず、「時の過ぎゆくままに」というタイトルを決めた。

映画「カサブランカ」の「As time goes by」からのいただきである。

出来上がった詞を、6人の作曲家(大野克夫、井上尭之、井上忠夫、加瀬邦彦、荒木一郎、都倉俊一)に渡して、れぞれ曲をつけてもらった。

できてきた曲はどれも魅力あるものだったが、阿久悠と二人、一晩聴き比べて大野克夫のものを選ばせてもらった。(久世光彦著「マイ・ラスト・ソング」)

http://m.youtube.com/watch?v=wU1XlDC-KSg&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3DwU1XlDC-KSg&gl=JP

『いくつかの場面』収録の「燃えつきた二人」(松本隆作詞・加瀬邦彦作曲)は、どうやら、その選考オチ作品のようにみえる。

http://m.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&client=mv-google&v=so2lCorW7o0&fulldescription=1

そのままこの曲を「時の過ぎゆくままに」の歌詞で歌うことができる。

〜虚無的な人間が一瞬虚無を忘れ愛に溺れ、熱が冷めるとやはり虚無の中にある〜
阿久悠

http://m.youtube.com/watch?v=nVjcSGTP6Nk&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3DnVjcSGTP6Nk&gl=JP


『時の過ぎゆくままに』

作詞/阿久悠
作曲/大野克夫
唄/沢田研二

あなたはすっかり つかれてしまい
生きてることさえ いやだと泣いた

こわれたピアノで 想い出の歌
片手でひいては
ため息ついた

時の過ぎゆくままにこの身をまかせ
男と女が
ただよいながら

堕ちてゆくのも
しあわせだよと
二人つめたい
からだ合わせる


からだの傷なら
なおせるけれど
心のいたでは
いやせはしない

小指にくいこむ
指輪を見つめ
あなたは昔を
思って泣いた

時の過ぎゆくままにこの身をまかせ
男と女が
ただよいながら

もしも二人が
愛せるならば
窓の景色も
変わってゆくだろう


時の過ぎゆくままにこの身をまかせ
男と女が
ただよいながら

もしも二人が
愛せるならば
窓の景色も
変わってゆくだろう

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 9
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
日本歌謡界に敢然と輝き続ける、退廃的な美を謳った永遠の名曲。ドラマチックな誕生秘話。 ツグトヨのブログ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる